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機嫌のデザイン まわりに左右されないシンプルな考え方

秋田 道夫著 ダイヤモンド社

 

 街中で見かけるLED薄型信号機から土鍋まで幅広い製品をデザインし、Xで10万人超がフォローする人気プロダクトデザイナー秋田道夫氏による一冊。「機嫌のデザイン」とは、単なる感情の話ではなく、人と人との間に生まれる関係性をデザインする、という著者独自の視点です。

 

 印象的なのは、「言葉を70cmの高さに置く」という表現です。投げつけるのではなく、そっと置く。相手が受け取りたかったら、すっと受け取れるような高さ。70cmは腰に近い高さで、誰にとっても手を伸ばしやすく、「余計な負荷をかけない」高さだといいます。

 

 この視点は、日常のあらゆるコミュニケーション場面で応用できそうです。何かを伝えたい時、つい力が入って「投げつける」ような伝え方になってしまうことがあります。でも、相手のペースや状況を考慮して、適切な「高さ」で情報を置くことができれば、受け取る側の負担も軽くなるでしょう。

 

 また、「機能を増やすには技術がいるが、機能を減らすには哲学がいる」という言葉も考えさせられます。何かを付け加えるより、削ぎ落とす方が難しい。本当に必要なものを見極める眼が求められるということかもしれません。

 

 プロダクトデザイナーならではの視点から、人間関係や組織運営について多くのヒントが詰まった内容です。「機嫌のよい関係性」を意識的に作り出していく発想は、様々な場面で活かせる考え方だと思います。

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