知らないと損する年金の真実

　「年金財政は赤字」「若い世代は払うだけ損」「少子高齢化で年金は崩壊する」——こうした言葉を耳にするたび、漠然とした不安を感じている方も多いはずです。

　

　しかし本書は、こうした「常識」の多くが誤解に基づいていると指摘します。

　

　例えば、日本の年金積立金が200兆円近くあり、世界的に見ても極めて多いという事実をご存知でしょうか。年金財政は一般財政とは別勘定で管理されており、「国の財政赤字で年金も破綻する」という心配は当たらないようです。

　

　また、「少子高齢化で年金は崩壊する」という不安についても、本書は別の視点を示します。よく「おみこし型から騎馬戦型、そして肩車型へ」と説明されますが、実は「働いている人が働いていない人を何人支えているか」という比率で見ると、昔からほとんど変わっていないそうです。

　

　さらに本書では、年金制度が「賦課方式」を採用している理由や、年金保険料を払うことの本質的な意味についても丁寧に解説されています。

　

　マスメディアの見出しに惑わされることなく、データとエビデンスに基づいて制度を理解すれば、漠然とした不安から解放されるでしょう。

　

　年金を老後生活の土台として位置づけ、その上で資産形成を考える——そうした堅実な視点を得るために、ぜひ手に取っていただきたい一冊です。