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イスラエル 人類史上最もやっかいな問題

ダニエル・ソカッチ著

 本書のサブタイトルにもある通り、「人類史上最もやっかいな問題」であるイスラエル・パレスチナ紛争。遠く離れた中東で起きているこの複雑な問題を日本人である私たちが理解するのは極めて難しいと感じることでしょう。

 

 本書はこの複雑な問題についての基本的知識を身につけることができるよう構成されており、第一部で旧約聖書の時代から現代にいたるまでのイスラエルの歴史を概観し、第二部でイスラエルをめぐる現代の厄介な論争のいくつかを検討していきます。

 

 イスラエルとは一体どういう国なのか。六日間戦争(第三次中東戦争)の後、イスラエル建国の父である初代首相ダヴィド・ベン・グリオンは語りました。

 

 “まず、イスラエルはユダヤ人が多数を占める国家である。次に、イスラエルは民主主義国家である。最後に、イスラエルはこの新しい占領地をすべて保有する。イスラエルはこのうち二つを選ぶことができるが、三つ全部は選べない。そして、この選択によって、イスラエルはどんな国かが決まる。”

 

 現在イスラエルを取り巻く中東情勢は、ロシアのウクライナ侵攻と並び世界的な関心事です。著者はこの問題の当事者であるユダヤ人ではありますが、中立的な視点で議論を展開し、イスラエルの実像を立体的に理解できるよう、読者を導いてくれます。

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