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クリア・シンキング

私たちが「思考」だと思っているものの多くは、実は合理性とは無縁の本能的な「反応」に過ぎない——。本書は、良い判断を妨げる「見えない敵」の正体と、その克服法を解き明かした一冊です。
本書の核心は、私たちには4つの「デフォルト反応」が備わっているという認識にあります。根拠や事実よりも感情に反応する「感情デフォルト」、自尊心を脅かすものに反応する「エゴデフォルト」、周囲の規範に従おうとする「社会性デフォルト」、そして変化を避けてなじみのあるやり方を好む「惰性デフォルト」。これらが無意識のうちに働き、判断を曇らせます。
実践的な問いかけも印象に残ります。「この行動は未来を楽にするか、それとも困難にするか」。このシンプルな自問が、目先の感情に流されることを防ぎ、長期的視点での判断を可能にします。
リーダーシップについての洞察も示唆に富んでいます。部下が自分で判断できるようになるには、リーダーが「何が一番大切か」をたった一つ、明確に伝える必要がある。基準が曖昧なままでは、部下はリスクを恐れて相談に来るしかないからです。
優れた判断は意志の力ではなく「仕組み」で生まれる——これが本書のメッセージです。正しい判断がデフォルトになるような環境やルールを整えること。日々多くの意思決定を迫られる院長先生にとって、経営判断からスタッフマネジメントまで幅広く応用できる実践的な内容です。
