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ゴールド 2.0 守りの資産戦略 ─インフレ、通貨不安に備える

金価格高騰の背景にあるもの

 2025年4月、金(ゴールド)の価格が史上最高値を更新しました。スポット価格は1オンスあたり3,430ドル超に達し、過去10年間の上昇トレンドが新たなピークを迎えています。背景には、米国の金利引き下げ観測、中東・東欧を中心とした地政学リスク、そして世界的なインフレの長期化への懸念が重なっています。特に通貨不安の高まりを受け、金は改めて“無国籍の資産”として資金流入を集めています。

 

 

利回りなしでも見直される資産価値

 金は配当や利息を生まない資産です。しかし、通貨の信用が揺らぐ局面や実質金利が低下する局面では、金の存在感はむしろ高まります。金は誰かの債務ではなく、通貨と無関係な“純粋な価値保存資産”です。インフレと金融政策の転換期において、資産の一部に金を加える意味合いが改めて見直されています。

 

現金偏重リスクを再考する

 日本では長らく現金・預金の保有が安全資産とされてきました。しかし、低金利が続く一方で、物価は確実に上昇しています。例えば2024年、日本の消費者物価指数(CPI)は前年比3%超を記録しましたが、銀行預金金利はほぼゼロです。インフレ局面では、現金偏重のリスクが高まります。資産を「額面」ではなく「購買力」で守る視点が求められます。

 

医業経営者が金を検討すべき理由

 医業経営者は安定収入を得やすい一方、現預金が積み上がりがちです。しかし、長期間にわたり現金を寝かせると、実質購買力は目減りしていきます。こうした環境では、資産の一部を通貨や制度に依存しにくい「金」のような資産に分散することが、防衛力を高める手段となります。総資産の5〜10%程度を目安に、無理なく分散を図ることが望ましいでしょう。

 

金の保有方法と注意点

 金を資産の一部に組み込む方法には、金地金やコインといった、現物に直接投資する方法と、金ETFや金鉱株などを通じて間接的に投資する方法があります。それぞれの特徴を簡単に整理してみましょう。

 

 

資産戦略に「守りの強化」を加えるとき

 金は高リターンを追求する資産ではなく、「資産を減らさない」「購買力を守る」という視点で活用すべき存在です。インフレ、通貨不安、地政学リスクが交錯する時代において、金や米国債券を組み合わせた分散戦略が、防衛力の高い資産形成につながります。攻めの運用だけでなく、守りの強化を意識することが、これからの資産戦略には不可欠です。まずはご自身の資産構成を見直し、「守りと攻めのバランス」に目を向けてみてください。

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