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オペレーションZ
2020.11.16
⼤規模な⾦融緩和策によって⽇銀に積み上がった⼤量の国債。そこへ⼤⼿⽣命保険会社の取り付け騒ぎがきっかけとなり⽇本はデフォルトの危機を迎えます。現職の総理が退陣し、新たに内閣総理⼤⾂に就任した江島隆盛が財務省官僚4⼈を集め、⽇本を救うために特命プロジェクトを始動させる。チームが取り組んだのは、歳出の半分を占める社会保障関係費と地⽅交付税交付⾦をゼロにすること。
“1000兆円を超える借⾦を抱えているのに、税収は増えず歳出はどんどん膨れている。でも、⽇銀がお札を刷ってくれているから⼤丈夫。─それっておかしくないですか?”
この⼩説ではまさに近い将来、⽇本に起こらないとも限らない危機をリアルに描いています。⽇本の国家予算は、⼀般会計の税収が約50兆円。にもかかわらず歳出は100兆円。この差を国債、公債で埋めているのが⽇本の現状です。今では国公債の残⾼は1000兆円を超えています。借⾦というのはいつか返さなければなりません。そのためにはこれ以上借⾦をしないことが重要。ならば歳出は半分にすべきである─。
家計に置き換えれば⾄極当たり前の話なのですが、国家財政となるとなぜかそうはいきません。
“年収1000万円の仕事をしていたと考えてください。それがリストラされて、年収500万円になっちゃった。なのに今年も去年同様1000万円の暮らしをしようとしている。そんな亭主は、即離婚だって。”
⼩説の中で江島総理は10年以内にデフォルトになると警鐘を鳴らします。
“今すぐに、国が潰れることはありませんが、これから10年となると、潰れない⽅が奇跡だと⾔えるでしょう。だから、いますぐ何とかしなければならない。”
国債の償還ができなくなる状態をデフォルトと呼びます。個⼈に置き換えれば⾃⼰破産。近年ではギリシャが記憶に新しいですが、過去にはアルゼンチンやブラジルの例も。これだけ⼤量の国債を発⾏している⽇本がデフォルトしないとは⾔い切れません。
著書はこの⼩説を書くにあたり、実際の財務省メンバーと勉強会を開き、討論したというだけあってディティールまでリアリティを持って描かれています。
社会保障関係費や地⽅交付税交付⾦をゼロにしたら、⽇本は⼀体どうなってしまうのか。プロジェクトメンバーの厚労省や⾃治体との緊迫したやり取りでは、この問題に深く切り込んでいきます。
フィクションとノンフィクションが綯交ぜになった感覚で⼀気読みすることができる⼤作です。