TOPICSトピックス
ETFの活用法
2021.3.18
⽶国市場、⼩型株が好調
⽶国株式市場では、最近⼩型株のパフォーマンスの好調がたびたび話題になっています。⽶国⼩型株の代表的指数であるラッセル2000指数はこの半年間で50%近くの上昇を⾒せており、⽶国の⼤型株から構成されるS&P500指数に⽐べてもそのアウトパフォームぶりには⽬を⾒張るものがあります。
⼩型株は⼀般的に売上げの⼤部分を国内経済に依存している傾向が強く、景気後退局⾯では⼤型株に⽐べ⼤きく下げやすい傾向があります。半⾯、景気回復局⾯では⼤型株に⽐べて上昇する勢いが強いのも特徴です。⽶国の⼤統領選以降、上昇する勢いはどんどん加速しており、バイデン政権のもと、1.9兆ドルにもおよぶ経済対策や新型コロナウイルスのワクチン接種の普及による景気回復期待によりしばらくはこの勢いが続く可能性がありそうです。ただ、⽶国⼩型株への個別投資は、相対的にリスクが⾼くなりがち。お勧めなのは⽶国⼩型株全体へ幅広く分散投資するETFの活⽤。ご⾃⾝の現在のポートフォリオに加えることで更なる分散投資を図ることもできます。
ETFと投資信託との違い
昨今、iDeCoや積⽴NISAの普及が進み、投資信託を活⽤した資産形成は⼀般的になりつつあります。しかしながら投資信託の⼀種であるETFについてはその違いや使い分けについてはいまいち⾃信がないという⽅も多いのではないでしょうか。
ETFはExchange Traded Fundの略。訳せば上場投資信託となり、ETFも実は投資信託の⼀種です。⼀般的な投資信託との違いは上場していることにあります。またその多くがインデックス・ファンドです。⼀般的な投資信託、すなわち、⾮上場のインデックス・ファンド(以下、インデックス・ファンド)と上場しているインデックス・ファンド(以下、ETF)の違いは⼤きくコストと取引形態に分けられます。
コストのかかるタイミングは購⼊時、保有時、売却時とありますが、最近のインデックス・ファンドの⼤半は購⼊時、売却時ともにほとんど⼿数料がかかりません。対してETFは上場しているので個別株同様、売買⼿数料がかかります(ネット証券では⼀部銘柄は購⼊時⼿数料ゼロ)。保有時には信託報酬がかかりますが、こちらはETFがインデクス・ファンドに⽐べ⽐較的低い傾向にあります。
注意しなければならないのは海外のETFを購⼊する場合。例えばバンガードやブラックロックのiシェアーズ、ステートストリートのスパイダーズ。こういったETFを買う場合には為替⼿数料がかかります。対してインデックス・ファンドは外貨に換える必要がないので為替⼿数料はかかりません。
取引形態を⾒てみます。まずインデックス・ファンドの場合、売買のタイミングは1⽇1回。どれだけの⼝数、価格で買えたかわかるのは翌⽇になります。対してETFは個別株同様リアルタイムで購⼊が可能。値が下がったときに機動的に売買が可能です。またインデックス・ファンドは定時定額による投資や分配⾦の⾃動再投資が可能ですが、ETFの場合通常できません。なお海外ETFの場合、分配⾦の課税について注意が必要です。海外ETFでは分配⾦に対し⽶国と⽇本それぞれで課税されることになるので、外国税額控除の申請をしなければ⼆重に税⾦を⽀払うことになってしまいます。
まとめると、コスト⾯ではインデックス・ファンドが優れ、指値や成⾏で投資をしていくといった取引形態の機動性を求める場合はETFが優れているといえます。ただし海外ETFは⼿間暇がかかることには注意が必要です。
ETF選択の3つのポイント
さて、ETFを活⽤する場合、どうやって選んだらよいでしょうか。ETF選択のポイントは3つ。①投資⽬的、②コスト(信託報酬)、③純資産残⾼と出来⾼(市場価格と基準価格の乖離)です。
⼀つ⽬のポイントは投資⽬的から考えること。分配⾦を受け取ることが⽬的なのか、⾃⾝のポートフォリオの更なる分散を図ることが⽬的なのか、といったことです。⼆つ⽬のポイントはコスト。選定したらその中でもよりコストが低いものを選ぶこと。また、コストが低いだけでなく、純資産残⾼が⼤きく、出来⾼(=取引量)が多いものを選ぶことが三つ⽬のポイントとなります。なぜなら資産残⾼が⼩さく、出来⾼が少ないETFの市場価格は基準価格に⽐べて乖離が発⽣しやすくなるからです。
例えば基準価格を100とした場合、ETFの市場価格は⼈気がでれば120になったり、⼈気がなければ90になったりします。結果、通常より⾼く買うことになったり、低く売らなければならないリスクが⾼まります。つまり純資産残⾼、出来⾼がともに多く、基準価格との乖離が少ないETFが優秀といえます。残念ながら⽇本で上場しているETFは出来⾼が少ないものが圧倒的に多いのが現状です。ですからバンガードやiシェアーズ、スパイダーズといった資産残⾼、出来⾼が多く、乖離率を気にしなくてよい海外ETFが候補となってくるでしょう。
冒頭、⽶国⼩型株のアウトパフォームぶりに触れましたが、ETFを活⽤することでご⾃⾝のポートフォリオにこの勢いを取り⼊れても⾯⽩いかもしれません。⽶国⼩型株に幅広く投資するETFとしては、例えばiシェアーズラッセル2000ETF(IWM)やiシェアーズS&P⼩型株ETF(IJR)などがあります。