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新NISA 変更点と活用のポイント
2021.10.15
新NISA、2024年からスタート
2014年にスタートしたNISA(少額投資非課税制度)。投資によって得られた利益が非課税になるため、資産形成においてぜひ利用をお勧めしたい税制優遇制度です。
今年7月に金融庁から公表された「NISA・ジュニアNISA口座の利用状況調査」によると、2021年3月末時点の口座数は、1586万口座( 一 般NISA : 1224 万口 座、つみたてNISA :361万口座)となっており、多くの方がNISA口座を利用していることがわかります。
このNISA、昨年の税制改正において制度が大きく見直されることになったのはご存じでしょうか。制度見直し後の「新NISA」は2024年からスタートします。そこで今回のニュースレターでは、新NISAがどのように変わるのか、また非課税枠をフル活用するためのポイントについて解説します。
現行NISAは3種類
まず現行のNISAについて確認してみましょう。2021年10月現在において、日本には3つのNISAがあります(図表1)。
図表1:3つのNISAの違い
2014年から始まった一般NISA。2016年から始まったジュニアNISA。そして2018年から始まり、最近20~30代の若い世代で利用が増えているつみたてNISAです。それぞれの違いは図表1をご覧ください。
NISAはそれぞれ1年で投資できる枠、非課税で運用できる期間が決まっており、その期間内に受け取る配当や売却益が非課税になります。非課税期間は一般NISAとジュニアNISAが5年、つみたてNISAは20年となっています。
そして今回の制度改正によって図表2のように変更されます。一般NISAはこれまで新規に投資できる期間が2023年までとされていましたが、5年延長したうえで2024年から新NISAとして衣替えします。ジュニアNISAは2023年までで廃止。つみたてNISAは現状のまま5年延長されます。
図表2:NISAの制度改正
新NISAは2階建て 合計122万円の投資枠
2023年に一般NISAの投資枠は終了しますが、新たに新NISAとして2024年から2028年まで投資ができるようになります。新NISAの最大の特徴は2階建てとなっていることです(図表3左)。
1階部分で購入できるのは、つみたてNISA対象商品のみ(図表1を参照)で投資枠は20万円です。購入方法は一定金額ずつ購入していく積み立てに限られ、スポット購入はできません。2階部分は、現行の一般NISAと同様、上場株式や投資信託、ETF、REITなどを購入できます。ただし、これまでと違いレバレッジを効かせた一 部の商品は対象外となります。投資枠は102万円で、スポットで購入しても積み立てで購入しても構いません。合計投資枠は1階部分の20万円と2階部分の102万円を合わせた122万円です。
投資枠を使う順番も決まっています。まず1階で積み立てを行ったうえで2階の枠を使います。ただ必ずしも1階の投資枠20万円をすべて使い切る必要はありません。たとえ1,000円でも1階部分を利用して積み立てをすれば2階の投資枠も利用できるようになります。ただし、1階で使い切らなかった投資枠を、2階の投資枠に上乗せはできないので注意が必要です。
ちなみに、これまで一般NISAを利用していた方や株式投資経験者であれば、1階を利用しないことを証券会社等に事前に届け出ることで、2階だけを利用することもできます。ただしこの場合、投資できる商品は個別株に限定され、ETFやREITなどには投資できないので注意が必要です。また投資上限額は2階部分のみの102万円です。
新NISAの非課税期間は一般NISA同様5年です。1階の枠で積み立てた分は5年の非課税期間終了後、つみたてNISAにロールオーバー(乗り換え)することができます(図表3右)。つまり1階の投資枠で購入した商品は最長で25年、非課税で保有することができます。
図表3:新NISAのしくみ(左)とつみたてNISAへのロールオーバー(右)
つみたてNISAへのロールオーバーは、時価ではなく「簿価ベース」です。例えば投資上限額20万円を積み立て、5年後に時価評価が2倍の40万円になっていたとしても、つみたてNISAにロールオーバーするときには購入した金額20万円分が移管したとみなされます。ロールオーバーした先のつみたてNISAの投資枠上限は40万円ですから、この場合、残り20万円の投資枠内を使って新規で積み立てていくことが可能です。
非課税枠をフル活用 最大1530万円
最後に投資資金に余裕があってこれから非課税枠を最大限に活用したい場合の方法についてお伝えします。
まず2023年までは一般NISAで年間投資上限額120万円を使います。2024年から2028年までは新NISAで年間投資上限額122万円を使います。2029年からは新NISAの1階部分をつみたてNISAにロールオーバーしながら、余っている投資枠20万円を使って新規積み立てをしていきます。
今年から投資を始めたとすれば、この場合、一般NISAの投資枠年間120万円×3年、新NISAの投資枠年間122万円×5年、つみたてNISAの投資枠年間40万円×14年で、合計1530万円まで非課税投資枠を拡大することができます。