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粗利に占める人件費の割合
2023.4.7
前回から引き続き医院の中のお金の流れをつかむというテーマで書いています。売上から変動費を差し引いた医院の実質的な収入である粗利が重要だというのが前回のお話でした。今回はその粗利の中身について見ていきます。
粗利は右図のように固定費と利益に分かれます。固定費とは売上の増減にかかわらず発生する文字通り固定的な費用のことをいいます。変動費以外の費用はすべて固定費です。例えば地代家賃、水道光熱費、保険料などなど。そして固定費の中でも多くの場合、半分程度を占めるのが人件費です。
ちなみに、院長の生活費は法人であれば役員報酬という形で人件費に含まれますが、個人事業の場合、決算書のルール上、代表者の可処分所得として利益に含まれています。医院のお金の流れをつかむうえでは、会社の利益と院長の給料は分けて考えることが大事なので、ここでは院長の給料はすべて人件費に含めると考えてください。下図では固定費70に対して人件費は40です。
ところで重要な指標のひとつとして、粗利のうち労働に対してどれだけ分配しているかを示す「労働分配率」があります。図では粗利80に対して人件費40なので、50%となります。この比率がより低ければ、少ない人件費で多くの粗利を生み出しているわけですから生産性が高いと言えます。ただし極端に低い場合、スタッフに過度の負担がかかっていないか注意も必要です。離職を防ぐためにも人手を増やす、ボーナスで還元するなどの工夫をしても良いかもしれません。
必要な利益を確保するための労働分配率は医院の状況によってそれぞれ異なります。ですから「自院において何%が適切なのか」、を知ることはとても大切です。