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マイナス金利解除でどう変わる
2025.2.11

本書は、マイナス金利の解除という金融政策の転換点がもたらす影響を、過去の政策の流れとともに丁寧に解説しています。単なる金利の上げ下げの話にとどまらず、それが私たちの生活や投資環境にどのように関わってくるのかを、多角的な視点から読み解くことができます。長年デフレが続いていた日本経済がインフレに転じることで、金融政策の常識が大きく変わりつつあることを実感させられます。
特に、最終章では、現在の円安傾向がなぜ続いているのか、そして今後円高に戻りにくい構造変化がどのように生じているのかを理解するうえで非常に有益です。これまで長く続いたデフレからの脱却が、単なる物価上昇という現象だけでなく、日本経済そのものの変質を伴っていることを、具体的なデータとともに示しています。
また、金利上昇の背景にあるインフレの本質を知ることで、今後の経済の流れを予測しやすくなります。企業の資金調達、家計の支出、住宅ローンの金利、さらには投資環境の変化まで、あらゆる面で影響が及ぶことを考えると、本書の内容は非常に実践的です。これまでの「低金利・円高」が前提だった時代とは異なり、インフレを前提とした新しい発想が求められる中、本書はその方向性を考えるための重要なヒントを与えてくれるでしょう。資産運用や経済の動向に関心がある方にとって、今後の意思決定に役立つ知識が詰まった一冊です。